鳩の模様
まだ、大通りが黄金色でいっぱいだった頃、降り続ける落ち葉に埋まっていく並木道を歩いていると、夏よりも少し丸くなった鳩たちが、あちらこちらでゆっくりと歩いていた。足元を見ると、一羽の鳩が同じ方向に向かっていたから、自然とその後をついていった。
リズミカルな箒の音が、この季節には大通り一帯に響き渡る。少しずつ異なるリズムの箒の音が、ところどころで鳴っている。その少し上から少し違ったリズムで、絶え間なくひらひらと、木々から葉が落ちてくる。視界の奥まで続く並木道には、落ちてくる葉の動きが絶えず映り込んできて、その動きはシンプルでありながら、次の瞬間にどこにいくのか予測できない。箒のリズムと違うようで、でもどこか似ているような気もする。落ち葉を踏みしめながら、その道を歩いていた。
ふと、私たちの前から歩いてきた鳩が飛び立つ。羽を広げてから1秒も経たないうちに、上空3メートルの高さに浮かび上がる。いつもは羽の下や裏側の見えないところに隠れている、グレーとホワイトの体を中心にして、風が起こる。敷き詰められた黄金色が、風の主の下で音を立てながら、同心円上に広がっていく。その黄金色の下から、年季の入ったレンガブロックの赤茶色の円が現れて、この季節にだけできる、鳩の模様をつくる。
積み重なった落ち葉を散らかさないように、私は散歩を続けた。